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イベントレポート

イベントレポート一覧です。

2025.11.07 京都府内のイベント・観光・体験

京都北部の魅力を堪能するEXPO KYOTO MEETING府域交流ツアーを実施しました!

2025年4月23日に万博会場で実施したトークセッション&パフォーマンスステージ「EXPO KYOTO MEETING ~和のこころと地球の未来~」では、京都から世界へ問いを発信する5つのトークセッションや京都の伝統文化のステージ、ユース世代によるパフォーマンスなど、一日を通して京都の「今」を感じ「未来」を考える見どころ満載のイベントとなりました。

そのアフターイベントとして4月のけいはんな・京都市内ツアーに続き、10月3日府域交流ツアーを実施しました。4月のイベントに登壇したポーランド環境実業家のKasia Michniewska氏と京都府商工会青年部連合会会長の中山良氏のほか、近隣市町村で万博に関わる方々とともに、京都府北部の京丹後市と与謝野町をめぐる旅へ。

丹後オープンファクトリー「NeoTAN」、そして「ちりめん街道」を訪れ、ものづくりと文化が息づく京都北部の魅力をたっぷりと体感しました。今回はその様子をレポートします!

(4月に開催されたEXPO KYOTO MEETINGのイベントの様子はこちら

ギネス世界記録認定者も!長寿のまち・京丹後市の「長寿弁当」

京都駅を出発してバスで2時間ほど。京丹後市に到着です。こちらでお昼のお弁当を食べました。

お弁当の名前は、「長寿弁当」。実は京丹後市、人口10万人あたりの100歳以上の高齢者の比率(百寿率)が、なんと全国平均の約3倍という長寿のまち。史上最も長生きした男性としてギネス世界記録に認定されている故・木村次郎右衛門さん(享年116歳)も、この京丹後市の出身です。

市は京都府立医科大学と連携して長寿の理由を科学的に解き明かそうと、腸内細菌などの研究にも取り組んでおり、2025年6月には「第一回 世界長寿サミット」も開催しました。その世界長寿サミットの昼食として提供されたのが「長寿弁当」で、関西パビリオン京都ゾーンでも紹介しました。

長寿弁当 豆腐の信太巻やさつま芋のイカ栗揚など、一品一品手作りされた「長寿弁当」
(関西パビリオン京都ゾーンでの展示の様子はこちら

サザエめし サザエとハバ(海藻)を炊き込んだ「サザエめし」

京丹後の長寿の秘訣は、身体によい食生活。合言葉は、「まごわやさしいこ」――ま(豆)、ご(ごま)、わ(わかめ)、や(野菜)、さ(魚)、し(しいたけ=きのこ)、い(芋)、こ(酵素=発酵食品)。これらの食材を日々の食卓で取り入れてきたことが、自然と健康の維持につながっているのだそうです。

今回のお弁当にも、「まごわやさしいこ」の食材がふんだんに使われていました。サザエとハバ(海藻)を炊き込んだサザエめしに、彩り豊かな9種のおかずが詰まった松花堂弁当。木村次郎右衛門さんも暮らしていた丹後町宇川地区にある「宇川加工所」の方々が、ひとつひとつ丁寧に手作りしています。

右から中山良氏、Kasia Michniewska氏、通訳のエマ・ベッツ氏

長寿弁当と聞くと、野菜中心で味付けも薄いのかなと思いませんか?ですが食べてみると、しっかりと味付けされており、魚もお肉も揚げ物もあって、ボリューム満点。体がよろこび、心まで元気になるお弁当は、まさに長寿のまちの知恵を味わえるお弁当でした。ごちそうさまでした!

丹後の工場や町並みをひらく「丹後オープンファクトリー2025 NeoTAN」

続いて訪れたのは、10月3日から5日まで開催された「丹後オープンファクトリー2025 NeoTAN」。丹後の魅力を味わえる、地域一体型オープンファクトリーイベントです。

織物や機械金属、農業、酒造など、多彩な事業者が出展。今回はその中から、万博の関西パビリオン京都ゾーンにも出展したヒロセ工業(株)を訪問しました。金属の精密部品加工を手がける企業です。

ヒロセ工業(株)「EN LABO」で説明を受ける様子

昔ながらの町工場と思いきや、案内されたのはとってもおしゃれなショールーム!ヒロセ工業(株)では製品展示のほか、研修ツアーなど産業観光の拠点づくりにも積極的に取り組んでいます。

会社説明のあと、展示スペースで製品を見せていただき、それから工場見学へ。スタッフの方の説明を聞きながら、ものづくりの現場をじっくりと見て回りました。製造AIを搭載した完全自動化工作機械を保有する最先端技術の工場から、創業当時(昭和43年)から稼働している工場まで、時代をさかのぼるように順に見学。どの現場も整頓・清掃が行き届き、すっきりとした清潔感のある空間です。

スタッフの方から、製品づくりへの想いを丁寧にご説明いただきました

さらに、ヒロセ工業(株)では環境への配慮も徹底されています。金属を100%リサイクルする仕組みや、社員一人ひとりの意識づけを大切にする企業文化など、持続可能なものづくりに向けた取り組みを紹介。環境実業家のKasia Michniewska氏も、環境への取り組みに強い関心を示し、質問を重ねていました。

ところで、ヒロセ工業(株)は万博で何を出展していたのでしょうか?
その答えは――なんと、チェス!

チェスの写真 匠チェスセット(万博特別バージョン)
(関西パビリオン京都ゾーンでの展示の様子はこちら

優美な線形のピース。盤面には、万博特別バージョンとして螺鈿が使われています。ひとつひとつの駒には手作業で蒔絵が施されており、まさに匠の技術の結晶です。その美しさには思わず息をのむほどでした。

普段はなかなか知ることのない産業の現場。話を聞き、実際に目で見ることで、その製品の背景に込められた想いが伝わってきました。

江戸時代の建物が残る、ちりめん街道を歩く

ヒロセ工業(株)を見学した後は、丹後ちりめんの地・京都府北部の与謝野町加悦(かや)の「ちりめん街道」へ向かいます。関西パビリオン京都ゾーンでも紹介した丹後ちりめん。その歴史と文化を現地でじっくり味わいます。

この辺りは、江戸から昭和初期にかけて高級織物の丹後ちりめんの生産で栄えた地域で、今でも当時の建物が多く残っていることから、重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。現在でも住宅として使われている家もあり、暮らしの中に歴史が息づくまちです。

昔ながらの風景が残る「ちりめん街道」

今回案内してくださったのは、「与謝野町語りべの会」の地元案内人・藤田さん。ちりめん街道をゆっくりと歩きながら、建物の特徴やちりめん産業の歴史をわかりやすく解説してくださいました。

途中では、ちりめん織機の実演も。ガチャっとした大きな音が静かな通りに響き渡ります。かつては、いたるところからガチャッ、ガチャッと機を織る音が聞こえていたちりめん街道。昭和30~40年代には、「一度ガチャっと織れば1万円儲かる」とも言われたほど、絹織物の一大産地として活気に満ちていたそうです。

地元案内人・藤田さんから話を聞く様子

丹後ちりめんの機織り機

実演のあとには、織りあがった丹後ちりめんも見せていただきました。触ってみると、丹後ちりめん独特の"しぼ"が心地よい手触り。

街道を進むと、銀行として使われていたという建物が見えてきました。その横には立派な蔵が。ここで案内人の藤田さんから、「なぜ銀行に蔵があったのでしょうか?」とクイズが出題。その答えは――融資の担保として銀行が反物を預かることがあったから。織物のまちならではの理由に、一同納得の表情です。歩きながら、時折こうしたクイズが出されるのも楽しいポイントです。

大きな蔵を持つ旧丹後産業銀行

ほかにも、宗派の異なるお寺が点在していたり、旦那衆が夜ごと酒盛りをしていたという旅館が残っていたりと、当時の賑わいと羽振りのよさが伝わってきます。
なかには江戸時代から残る建物もあり、まるでタイムスリップしたかのような気分です。

137段もの石段が続く天神神社

さらに、瓦屋根の棟には厄除けの桃の飾り、橋の欄干にはハート型の意匠など、言われなければ見落としてしまいそうな見どころも随所に。藤田さんの案内で、そんな細部の魅力まで楽しく知ることができました。

厄除けの桃の飾り

橋の欄干に施されたハート型の意匠

万博会場で展示された製品が実際につくられている現場に行き、ものづくりへの想いや地域の文化を肌で感じた一日。トークセッションの登壇者と京都府内の関係者が交流を深める機会にもなりました。

丹後オープンファクトリー「NeoTAN」の会期は終了しましたが、「TANGO OPEN CENTER」ではファクトリーツアーやワークショップが開催されています。また、ちりめん街道ガイドツアーは、随時参加申込みを受付けています。(詳細は下記から)

ぜひみなさんも実際に訪れ、京丹後の魅力を感じてみてください!

※上記は2025年10月時点の情報です。最新の情報は各ウェブサイトやお電話でご確認ください。

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